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認知症について】

福祉、保健、医療に携わっておられない一般の方は「認知症」と言われてもピンと来ないかもしれません。

以前は「痴呆」とか「ボケ」と表現されていました。表現として相応しくないとのことで、今では「認知症」と言っています。


介護を要する主な条件に、身体的なことと、認知症があり、世間では「年を取ったら体が言うことをきかなくなってね」と言いながら、身体的要因の方はある程度仕方がないという感じがあるようですが、「認知症」については、とてもじゃないけど受け入れがたいことで、もし、自分がそうなってしまったら・・・想像したら恐怖以外何ものでもないことで、絶対にこんなふうにはなりたくないと、そんなふうに思っておられる方は多いのではないでしょうか。


しかし、昔のように「他人事」とは捉えてはおらず、「自分もなっちゃうんじゃないだろうか」と一抹の不安をかかえていることが現代の特徴であり、認知症高齢者が、それほどまでに身近な存在になっているということでありましょう。


しかし、まだまだ認知症に対する間違った認識や偏見は根強く、このために早期発見、早期治療を妨げ、誤った対処によってひどく症状が出てしまうことがあるようです。



【認知症とは】


認知症とは、脳の働きが低下することにより、記憶が抜けおちたり、徘徊、幻視幻聴などの症状が現れたり、時に人格に問題が出て暴力的になる等の問題行動が現れる等して、日常生活を営むのが困難になってしまうことをいいます。


「もの忘れ」は、誰にでもあることであり、年齢を重ねると若い頃よりそれが多くなります。しかし、それだけでは「認知症」とは言えません。日常生活に支障が出る程のひどい物忘れであるとか、例えば、ただの物忘れは、「はて、今朝は何を食べたかな・・・」となるところ、認知症では、食べたこと自体を忘れてしまいます。


【認知症の原因とは】

認知症の原因の多くは、病気によるものだと言われています。 代表的なものに、脳血管障害による脳血管性認知症と、アルツハイマー型認知症があります。

他には、頭をぶつけたことによる慢性硬膜下血腫や、脳腫瘍、重度の貧血、栄養障害、薬の副作用なども原因になるとのことです。

認知症とまちがえやすいものとして、家庭環境の変化や、ストレス等によって起こる「うつ」や「せん妄」があります。

認知症とは対処や治療の仕方が異なるため、注意が必要です。






【早期発見、早期治療が大切です】

アルツアイマー型認知症は、現在ははっきりした原因がわかっていないとのことで、決定的な治療法はまだありませんが、症状を軽減したり、進行を遅らせることは可能となっているそうです。

と言うことは、発見と対処が早ければ早いほどいいということですよね。

脳血管性については、脳梗塞や脳出血など脳の血管障害によって、脳細胞に十分な血液がいきわたらなくなり、脳細胞が死滅するために起こります。高血圧、高脂血症、糖尿病などによる脳の動脈硬化が主な原因です。日々の生活習慣である程度予防が出来るということが分かります。


早期発見、早期治療が難しい要因として、認知症に対する誤解や偏見があげられます。本人も、家族も、抵抗感があるためです。

認知症は特別なことではなく、75歳以上では1割にものぼると言われています。40代や50代でも、脳血管障害やアルツハイマー等で認知症になり、介護保険を利用している方も珍しくありません。誰もが、直面する可能性があるのです。

「あれ?ちょっと変だな」 初期のサインとして、
医師からアルツファイマーについて説明を受けるご家族。不安そうな表情を絵で表現しています。

○身のまわりを気にしなくなる  ○今まで好きだったことへの興味や関心が無くなる ○以前より怒りっぽくなる○ガスの火を度々消し忘れる ○ものの名前が出てこなくなった


などがあります。 これらの症状があれば、認知症を疑ってもよいと言われています。

周囲の人が気づいた時は、病状が思った以上に進んでいることも少なくありません。

認知症は、誰もが直面する可能性があり、決して特殊な病気ではないこと。

認知症は、ある程度予防が可能であり、症状の緩和や進行を抑えることが出来る。早期発見、早期治療が重要である

ということを、知っておいて下さい。


認知症かもしれない・・・と思ったら


○早めに医療機関で受診する → かかりつけ医に、専門医療機関を紹介してもらう(顔なじみ医師の言うことは本人の抵抗感も少ない)


○保健所・保健センター、在宅介護支援センター、市区町村高齢福祉担当課等に相談


                 ↓

○専門医療機関  (老人性痴呆疾患センター 、 もの忘れ外来 、 精神科、神経科、神経内科、
老年科など)




【周囲のかかわり方】


認知症の症状は様々ですが、記憶障害や見当識障害、判断力障害は、自立した生活を営むことは難しいですが、介護は比較的し易いかもしれません。(症状に気がついて最初は、家族の方がパニックになるケースもありますが)

ご飯はまだかね?とお婆さん。さっき食べたばっかりなのに!と困った様子のご家族を絵で表現しています。 多くの場合、行動障害が表れた時、家族も本人も大変苦しむこととなります。

私も、初めて、介護の現場で、認知症の高齢者が、大きな声で怒鳴り、暴れ回る現場を目の当たりにした時、とても怖くて、怖くて、心臓がドキドキなって、慌てました。

なぜ、その方は、大きな声で怒鳴り、暴れ回ったのでしょう。周囲のかかわり方に、問題は無かったのでしょうか?

最近でも、時々、介護施設等で、粗相をした認知症高齢者に対して「何してるの!何度言ったらわかるの!」と叱っているのを見ることがあります。

このような職員の傾向として、怒っていない普段の接し方は、何だか子供と接しているような感じです。


認知症になると、何もわからなくなるのか・・・いえ、感情やその人らしさは終末期まで残っているそうです。
「どうせ何も分かりゃしないだろう」的な接し方で、内心「毎日ワシを愚弄しおって」と思ったり感じたり
しているのかもしれません。健常者なら「あなたの態度は不愉快だ」と理論的に表現出来ますが、それが出来ないために、暴言や暴力といった問題行動となって表れるのかもしれません。
親しみを込めて、ちょっとタメで接して冗談を言い合うことも時には必要かもしれませんが、人生の大先輩に対して敬意を示して接しなければなりません。

記憶力、判断力の低下により、失敗をする。周りは、それを否定せず、受け入れる対応がよいと言われています。

しかし、これは、介護者にとって大変なストレスになるかもしれません。 本当は正しいことではないことを「そうですね」 と言うのは、最初は戸惑うでしょう。
ご飯はさっき食べたでしょ!とは言わず、お茶を出してお婆さん納得。ご家族、お孫さんも一安心している様子を絵で表現しています。
子供にはしつけが必要ですが、成長を遂げた人間が脳の疾患によって、後天的に低下する。 しかし、今まで長年生きてきた証、人格は保たれているのですから、認知症の方に「しつけ」は全く意味がないことだということが分かります。


しかし、できること、残っている機能を大切にし、何とか説得し、納得してもらって、その気にさせながら訓練して、維持、向上を図ることは良いことかもしれません。
 ただわがままを許すだけでは・・・という、とても難しい問題に関しましては、専門家、実際に介護に携っておられる方のサイトを探して、ネットワークさせて頂いていますので、是非そちらを参考にして下さい。



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